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駅前のお気に入りの古本屋さんに行ったら、私の好きだったあの棚が、一面いやらしい雑誌になっていて、ショック。お店の人に抗議しようかとも思ったけれど、ぐっとこらえた。見たところ「バイトの人」という感じだったし、「私の棚をどこへやったんだ」とも言えないし。打ちのめされた気持ちで目に付いた本をかたっぱしから抱え込んでレジに運んだら、お店の人はちょっと呆れた顔をしていた。
そのやけくその勢いで買ったものの中の一冊が、長島有「猛スピードで母は」(文藝春秋)。リズミカルな文章で、一気に読ませてくれたんだけど、うーん、何だか‥‥。芥川賞受賞の表題作と、文学界新人賞のもう1作がおさめられていて、どちらも逸脱した家族の姿を描いているのだが、それ自体がもう、吉本ばななの「キッチン」を筆頭に、ここ10年の映画や小説で繰り返し描かれてきたものという感じで、そういう意味では、ごく安心して読める小説なのであり、まさに芥川賞にふさわしいのかもしれない。細部の描写は、さすがによく書けているのだが、そこにも、「文学」というよりむしろ「マーケティング」の匂いを感じてしまう。
でも、タイトルと、表紙の佐野洋子の絵は、すごく気に入った。
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