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砂漠の出会い
「星の王子さま」とサン・テグジュペリ
作者生誕100年の2000年、オリジナル版に忠実な形で新たに編まれた新しい「星の王子さま」が出版されました。消え入りそうな優しい声で語りかけてくる、小さなこのストーリーが、世界中の多くの人に光を与え続けているという事実に、今さらのように驚かされます。
「星の王子さま」の物語は、サハラ砂漠の真ん中で立ち往生した飛行機乗りが「王子さま」と不思議な出会いをする所から始まりますが、作者のサン=テグジュペリも、生涯にわたって空を飛び続けた飛行機乗りでした。あふれる感受性と、強靱な誠実さをもって綴られた彼の著作には、飛行機から眺めおろした神秘的な描写があふれています。
機体の下に見える小山の群れが、
早くも暮れ方の金色の光の中に、
陰影の航跡を深めつつあった。
平野が輝かしくなってきた。
しかもいつまでも衰えない輝きだ。
27才のときにつとめたモロッコの飛行場の体験は彼に多くの影響を与えたようです。どこまでも続く砂漠を空から見おろしながら、彼の心は同時に自分の内面をさまよっていったのでしょう。この時の体験をもとにして書かれた処女作「南方郵便機」。その始まりには、こんな美しい描写があります。
水のように澄んだ空が星を漬(ひた)し、
星を現像していた。
しばらくすると夜が来た。
サハラ砂漠は月光を浴びて砂丘へとひろがっていた。
飛行家としての体験をもとにした感動的な作品「人間の大地」では、人間と人間の精神についての思いがつづられています。
砂漠はぼくらにとって何だろう?
それはぼくらの内部に生れるものだ。
ぼくらが自分たちについて知るものだった。
そしてまた、「星の王子さま」にも砂漠についての印象的なくだりがあります。
ぼくは、いつも砂漠がすきでした。
砂山の上に腰をおろす。
なんにも見えません。なんにもきこえません。
だけれど、なにかが、ひっそりと光っているのです……
「砂漠が美しいのは、
どこかに井戸をかくしているからだよ……」
と、王子さまがいいました。
本の最後、作者自身によって描かれた挿し絵は、王子さまが消えてしまったという砂漠の情景です。「これが、ぼくにとっては、この世の中で一ばん美しくって、一ばんかなしい景色です。」とあります。
輝く小さな星をひとつたたえた砂漠。それは私達にとって、遠い彼方の国でもありますが、同時に私達が今生きてくらしている、まさにこの場所でもあるような気がするのです。
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