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絵本の奇跡 おとなのための絵本ガイド
今振り返って、
私にとり、子供時代の読書とは何だったのでしょう。
何よりも、それは私に楽しみを与えてくれました。
そして、その後に来る、
青年期の読書のための基礎を作ってくれました。
それはある時には私に根っこを与え、ある時には翼をくれました。
この根っこと翼は、私が外に、内に、橋をかけ、
自分の世界を少しずつ広げて育っていくときに、
大きな助けとなってくれました。
これは、皇后美智子様の、子供時代の読書についての講演の一節です。本が「根っこ」や「翼」になり、自分の内面へ、そして他人や社会への「橋」となってくれることは、大人にとっても同じでしょう。「こどもにどんな絵本を与えるべきか」という本がたくさん出てるけど、本との出会いは、ひとつの「奇跡」。自分自身で奇跡を体験した人だけが新しい奇跡を呼び起こすことができる、そう思うのです。
つくづく絵本は、ガキにはもったいないと思う。
これは理屈なし。
こう断言するのは、絵本作家の五味太郎。ポンポン飛び出す言葉を追っているうちに、奇跡がどのようにして起きるのか、ちょっとわかったような気がしてきます。「みんな、うんち」なんて本を書いている五味太郎は、すごくラジカルか、もしくはひねくれ者に思えるけれど、絵本そのものが、実はすごくラジカルですごくひねくれてるのかもしれません。「ラジカル」っていうのは、背中がまっすぐなこと。「ひねくれてる」っていうのは、まっすぐにものを見ること。
絵本をちゃんと楽しめる大人のひとりに挙げたいのが、片岡義男。絵本を語る彼の言葉の端々から、自身が日常の一部として絵本に接している、その親しさが伝わってきます。彼が愛する絵本は、独特の美しさを持っているばかりでなく、その向こうに人間の精神の美しさが見えるような本だという気がします。
絵本とは、ファンタジーの能力だ。
夢を見る力だ。夢は理想と言ってもいい。
そして夢を見る力とは、
リアリズムとの健康的に均衡した緊張関係だ。
夢は単なる夢だはなく、
現実化を志向し続ける理想だ。
そして、「こどもに贈る本」は、科学者、画家、写真家、社会活動家などさまざまなジャンルの46人によるリレーエッセイ。最初に発表されたのが生協の機関誌だったせいなのか、どの文章もふわふわしてなくって、堅実。ちょっとまじめすぎると思う人もいるかもしれない。けれど、この本全体に流れている「絵本にたいする謙虚さ」みたいなものはぜひ見習いたい、そう思います
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