●1
「オーレリア」
ジェラール・ ド・ネルヴァル
篠田知和基/訳 思潮社 1748円

●2
「夜なき夜、昼なき昼」
ミシェル・レリス
細田直孝/訳 現代思潮社 2400円

●3
「夢十夜 他二篇」夏目漱石
岩波文庫 400円

●4
「一人の男が飛行機から飛び降りる」
バリー・ユアグロー 柴田元幸/訳
新潮文庫 667円
(写真は単行本)
 
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夢の世界へようこそ



 夢はもうひとつの生である。
 ----●1

誰にでも、この言葉を実感する瞬間があるものです。「夢」は、私達に生きることの神秘を教えてくれます。その神秘にせまろうと、夢を記録した人も少なくありません。けれど、夢を凝視しつづけることは、狂気との境目をたどることでもあるのです。

シュルレアリストたちも、もちろん夢に魅入られました。1923年から1960年の長い間にわたる夢の記録のタイトルは「夜なき夜、昼なき昼」。

 ぼくは死んだ。
 映写機の光線に照らし出された
 映画館の円錐形の空気のように、
 空に埃が舞っているのが見える。
 ----●2

目を閉じた瞬間に広がる夢の世界は、驚くほどヴィジュアル。そして多くの場合、「死」と「官能」のイメージに彩られているのです。

 こんな夢を見た。
 腕組をして枕元に坐っていると、
 仰向に寝た女が、 静かな声でもう死にますという。
 ----●3

夏目漱石もまた、こんな書き出しで始まる短編「夢十夜」を書いています。小説の世界へぐいぐいと引き込む力は、やはり圧倒的。

逆に夢の持つ不思議感、不条理さ、荒唐無稽さなどを逆手にとって小説の手法としているのが、バリー・ユアグロー。まるで夢をみるような感触で楽しめるイメージの断片が集められています。

 眠れない。枕の感触が変だ。開けてみると、
 なかに骨がいっぱい入っている。
 ----●4

日常を吹き飛ばす脈絡のなさに身をゆだねて、寝ている間の人生もめいっぱい楽しめたら、いいですよね 。