「島暮らしの記録」
トーベ・ヤンソン
冨原眞弓/訳
筑摩書房 1995円

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トーベ・ヤンソンが、友人たちの助けを借りながら家を建て、静かな暮らしを営んだのは、離れ小島、というより、岩礁の一部。フィンランドの冷たい海の上に顔を出した岩の上。魚や鳥を捕まえて食料とし、日用品は小さなボートで運ぶ。
まさに記録という言葉がぴったりの、素っ気ない言葉で綴られた毎日。ただし、日記そのままではなく、日記風の小さな小説として読むべきであろう。
海の波と風とを、布1枚の緩衝剤もなく、文字通りダイレクトに受ける暮らしだが、きわめてトーベ・ヤンソンらしく、描写は淡々としている。けれど、行間から、その厳しさと自然との交感のあたたかさ、そして孤独というものの味わい深さが伝わってくる。
巻末にある、訳者冨原眞弓の解説が、フィンランドの人の暮らしについてを含め、作品の背景にあるものをさりげなく示していて、よい。また、見返しには、挿絵画家だったトーベ・ヤンソンの母による、舞台となったクルーヴハル(万力島)の素敵な絵も。
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