「一九六一年冬
「風流夢譚」事件」
京谷秀夫
平凡社ライブラリー

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「風流夢譚」事件。それは、天皇が処刑される場面がある、深沢七郎のこの小説が雑誌「中央公論」に載ったあと、右翼の少年が中央公論社社長の自宅へ乗り込み、社長夫人と家政婦の女性を刺したという事件。中央公論社は、このあと謝罪を表明した。何の責任もない人が命をおとしたという事実は人々にショックを与え、また、メディアが暴力に屈服した忌まわしい出来事として、記憶されることになるのだった。
この本の著者は、当時の編集部員。しかし、やはりすべてが明らかになっているわけではなく、この事件の闇が、いかに深いかを暗示している。
ちなみに、深沢の「風流夢譚」は、図書館で「中央公論」誌に当たれば読むことができる(なぜか、この号だけ欠号になっている図書館も多いという噂も聞くけれど)。滑稽さのなかに、諷刺の毒が鋭くきいており、純粋に一篇の小説としてとても面白く、質の高い作品だということがすぐにわかる。事件ばかりがクローズアップされて、作品そのものの評価が消されがちなのも、不幸なことだと言えるだろう。
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