日 記 の 本 

  「アナイス・ニンの日記」
アナイス・ニン 原麗衣/訳
ちくま文庫

アナイス・ニンという人について、生きることと日記を書くことが同義だったと言っては言いすぎだろうか。11歳の時から書き続けた日記のうち、この本は、ヘンリー・ミラーと出会い過ごした1931年から34年までのものであり、アナイスは20代後半だった。気ままに読み拾い、自分の人生と重ね合わせながら何度も楽しむ。他の時期の日記もぜひ翻訳出版されるべきだと思う。
  「クリシュナムルティの日記」
J・クリシュナムルティ 宮内勝典/訳
めるくまーる社

クリシュナムルティが78歳のときの日記。美しい本だと思う。安易にこういう言い方をしてはいけないのかもしれないけれど。「人は自分自身の光りとなるべきだ」「自由とは、あなたが自分自身にとって光りになることだ」「関係のなかでのみ、自分自身を知ることができる。抽象や、孤独のなかではけっしてわからない」‥‥。
  「ROMAZI NIKKI ローマ字日記」
石川啄木 桑原武夫/編訳
岩波文庫

日石川啄木が、1902年に17歳で上京してから27歳で死ぬまで10年間にローマ字でつづった日記。貧乏と文学と恋愛と性欲と青春と。国語の教科書で知った啄木とは違う、なまの啄木がいる。私が古本屋で買い求めたこの本には、小さな鉛筆書きで英語の書き込みがあった。なるほど日本語の勉強には好都合の作品かもしれない。

  「つげ義春日記」
つげ義春
講談社

こどものこと、妻の入院、妻との口論、漫画家としての仕事、団地の風景、ままならぬ体調、癌の心配、やまい、感情、鬱病……。昭和50年から昭和55年までの日記。極上の私小説。

  「死をポケットに入れて」
チャールズ・ブコウスキー ロバート・クラム/画 中川五郎/訳
河出書房新社

ブコウスキー最晩年、亡くなる1年前までの1年間半くらいにわたる期間の日記。でも、日記の形をとってはいるものの、読者を意識した創作に近いものになっている。とにかくほとんど毎日競馬の話が出てきて、最晩年とは思えないパワフルさ。これを書いたとき、ブコウスキーは71歳。まさに怖いもの知らず。歳とるっていいね。
  「日記をつける」
荒川洋治
岩波アクティブ新書

日記とは何なのか。日記をつけるってどういうことなのか。小学生にも読めそうな、やさしい言葉づかい。でも、日記の読み方には、この人独自の鋭さと味があって、このうえなく的確。おもしろそうな日記文学もたくさん紹介してあって、どれも読んでみたくなる。