ガ ー ト ル ー ド ・ ス タ イ ン の 本 

  「アリス・B・トクラスの自伝 わたしがパリで会った天才たち」
ガートルード・スタイン 金関寿夫/訳
筑摩書房

1903年から1932年のパリ生活。ピカソ、マティス、ヘミングウェイ、コクトーなど、アーティストたちとの交流がいきいきと描かれる。秘書アリス・B・トクラスの自伝という形を借りて、自分のことを書くというこのやり方が、何と言っても一筋縄ではいかないスタインらしい。
  「地球はまあるい」
ガートルード・スタイン ぱくきょんみ/訳
書肆山田

ローズというひとりの女の子をめぐるおはなし。でも、あくまでスタイン。ローズっていうのは、もちろん「rose is a rose is a rose is a...」のローズです。これ以上ふさわしい人はありえないという翻訳者を得た、幸福な一冊。
  「ピカソその他」
ガートルード・スタイン 本間満男・金関寿夫/訳
書肆山田

言葉のキュビスト、スタインによるピカソ論2本と、セザンヌ論、マチス論、ブラック論が収められている。ピカソ論は、ピカソの最初期から彼を見守り続けた仲間として、同時代の精神を共有する者としての友情にあふれている。
  「やさしい釦」
ガートルード・スタイン 金関寿夫/訳
書肆山田

訳者によるあとがきには、これはスタインが散文で描いた立体派風の静物画なのだとある。日常生活のいろいろな物事を素材に行われた言語的実験。ドローイング風、スケッチ風、描き込んだ油絵風、といろいろあって、読んでいてとにかく楽しい。同時に翻訳者の労に感謝するばかりだ。
  「地理と戯曲 抄」
ガートルード・スタイン
金関寿夫・志村正雄・富岡多恵子・ぱくきょんみ/訳
書肆山田

「先駆的」「前衛的」「実験的」と呼ばれる芸術的試みの多くは、いつのまにか古典になっていくものだけれど、言葉を使ってそれをやり遂げたスタインにおいては、未だに「古典」にならない生々しさを持っている。金関寿夫による「訳者あとがき」にはこんな一節がある。……そうした効果を翻訳で出すのは、実に至難の業なのである。「至難」どころか、私の場合はもうすっかりお手あげである。それではなぜそんなものを訳すのか? さあ、なぜだろう? この質問に答えるのは、「なぜお前は毎日生きているのか?」という質問に答えるのと同じ位、私にはむずかしい。
  「ボンジュール、サティおじさん」
ドミー・デ・パオラ/作 鈴木晶/訳
ほるぷ出版

パリにおけるスタインのサロンのことを描いた、ちょっと変わった絵本。アリス・B・トクラスも、ピカソもマティスも、もちろん登場する。サティおじさんは、もちろんエリック・サティ。絵の中にさりげなく登場する人たちについては、巻末に紹介がある。ジョイス、イザドラ・ダンカン、ガーシュイン、エズラ・パウンド、ヘミングウェイ、ゼルダ・フィッツジェラルドなどなど。作者は、破天荒で華やかなベル・エポックの時代の栄光を、絵本のなかに残したかったのだろう。
    「小説アイダ」