「うわー、懐かしいわ、お父さんのオムレツ。」
よく小さい頃に食べたそれは、
玉ねぎが入っていて甘く、
ものすごくバターの味がして、
食べると一日胸焼けするが妙においしく、
なぜか家族に人気があった。
----吉本ばなな「おやじの味」

短編集「体は全部知っている」(文春文庫)より。
心に傷を負って、引退後家族から離れてひとり山暮らしをする父親のもとを訪ねた娘。雨にぬれた緑。真っ暗な夜。暮らしの雑事。整っても飾ってもいなくて、でもどこか地に足のついた父親の暮らしぶりに触れる娘の姿。
グルメとかこだわりの逸品は世の中にあふれているけれど、生きていくことに直結するようなごはんの食べ方をするのは、意外とむずかしい。食べ物のおいしさなんて、自分が自分を味わえるかどうかにかかっているのだ。
ここに登場する「おやじ」のオムレツは、あらかじめバターをたねに入れておいて、フライパンには油をひかないのがコツです。
「体は全部知っている」
吉本ばなな
文春文庫

ホワイトアスパラガス 甘いオムレツ 黒豆の納豆 蛸しゃぶ 朝のスウプ 麦チョコ アイスクリーム
 ウォッカ・トニック オレンジと熱いコーヒー シナモンロール カリメラ 神様にささげるごちそう 葛の花のジャム
しょうがクッキー 葡萄酒とウエーファー ジンとレモンの熱い一杯 ダイコンのおみおつけ