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傍らの葛(くず)の藪(やぶ)が、
赤紫の花房をつけ始めていた。
「あとでこれを摘んで、ジャムにしましょう」
蓉子は歩きながらマーガレットに声をかけた。
「え? この花? ジャム?」
マーガレットはいつもよりトーンの高い声で
応じた。
「そう。うっすらと甘いの。
葛は、日本では根っこが薬効のある
貴重なでんぷんなの。その花もおいしいのよ。
薔薇(ばら)のジャムだってあるでしょう」 |
祖母の残した古い家に住み始めた4人の若い女性たち。染めや織りをこころざす彼女たちの季節感にあふれた、質素で美しい暮らしぶりがていねいに描写されている。
季節ごとに姿を変えていく庭や山野の草花は、染料として、また、食べ物として、心と体を養ってくれる。
日本古来の自然観に触れながら、現代に生きる自分なりの生き方をさがしていく彼女たちの静かな日々を描いた、深く心にしみいる小説。
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