兄は代助を見て、「どうだ、
一盃(ぱい)遣らないか」と、
前にあった葡萄酒のびんを持って振って見せた。
中にはまだ余程入っていた。(中略)
代助は一口飲んで盃(さかずき)を下へ下した。
肴の代りに薄いウエーファーが菓子皿にあった。
「旨いですね」と云った。
----夏目漱石「それから」
ブルジョアの父を批判しながら、父の財力に依存して生きる高等遊民、代助。これは、代助の実家での1シーン。
年代物のワインと、ウエハース。このふたつの取り合わせで、この家庭の持つ優雅だけどちょっと気だるい雰囲気が的確に描写されるから不思議だ。
「それから」
夏目漱石
新潮文庫
ホワイトアスパラガス
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